子ども向けと侮ることなかれ みんなのレオ・レオーニ展 感想

さすが、可愛いですねえ。
松方コレクション展の後は、みんなのレオ・レオーニ展@損保ジャパン日本興亜美術館へ。
たまたま訪れた日は「トークフリーウィーク」。
子どもも声の大きさに気兼ねなく観られるよ、という取り組みです。
夏休み間近でしたのでね。

とは言え『スイミー』が国語の教科書に載っていることもあり、恐らく大人も黙って観るより話しながら観たいタイプの展覧会かな?と。
私も母と観に行ったのですが、やっぱりその、非常にわくわくしてしまったので……
結果的にトークフリーウィークで良かったなと思いました。

公式サイトは下記より。

ひょんなところで技法のおさらい

会場で、目録と一緒に配られているこちらの資料。
のっけからこちらにテンションが上がってしまいました。
絵本作家の展示会です、可愛いよ!というだけではなく、その裏にある美術の技術的なことをきちんと、作品とリンクして楽しく体感できるようになっているんですね。
この資料があることによって、絵本だけではなく原画を観る意味がぐっと高まったように感じました。

もちろん帰ってからも、各々の家にある(かもしれない)絵本を読んだときに「あ、あれ…」となるのかもしれないですし。
変に子どものことを子ども扱いしてるわけでもない、でもとても効果の高い、いい取り組みだなあと思いました。

普段偉そうにわーわー書いてる私も、技法や用語に関しては曖昧な部分も多いので、ひょんなところで技法とその例をたくさん観ることができて非常に楽しかったです。
何かを覚えるときは、実例を見るのが1番。

また後半の方で、『スイミー』のアニメを作成する際の様子がビデオ展示されていたのですが、これもとっても興味深くて何度も観てしまいました。

アニメも絵本と同様、紙と不透明水彩、そして透明なガラス板を使い、モノタイプによって生まれる偶然の模様を活かしてコラージュするという制作方法を取っている、という実際の作業を映した映像なのですが、これがとても面白かったんですよね。
その映像で作られていた、スイミーが泳ぐ海の海藻がなんと実際に展示されていていたというのもすごい。
他にも『コーネリアス』の胴体や『フレデリック』のアニメ用のコラージュなども展示されていて、レオ・レオーニ作品が持つ世界観をアニメでもきちんと表現していくという強い愛と意気込みを感じました。

原画と絵本を一緒に展示すること

原画と共に、至るところに手に取ってよい絵本がたっぷり置いてあったのも嬉しかったですね。

あちこちで子どもが絵本を読んでいるのはもちろん、高学年くらいの子どもがじっと絵本を読んでいるのなんかを見てしまうとこう、つい涙腺が緩むというか……

老若男女問わず、ここで懐かしの絵本と再会、という人も多かったんじゃないでしょうか。
1人で来てじっくり絵本を読んでいるのかな?という雰囲気の大人も多く、なんだかいいなと思いましたね。

物事の感じ方は時や状況に変化して当然であると思っているのですが、その変わっていく自分を捉えていくことが大切というか、それが「生きること」「学ぶこと」の意味のうちのひとつではないかと思っています。

上記記事で書いたとおり、適応障害で休職してた頃の、どうにもままならない気持ちを引き上げてくれたのが『スイミー』だったということもあり、会場で絵本を読みながら、8歳の自分からずいぶん遠くまで来たなあと、しんみりしてしまいました。

今回のお土産

カフェ食器でお馴染み、DURALEXスイミーのコラボグラスです。
テンション上がりすぎて値段も見ずに購入してしまいました。
他にもいろいろ可愛いグッズだらけで目移りしたのですが、「よく見るとスイミー」くらいのちょっと大人なトーンが気に入っています。