ミラクルエッシャー展の感想②講演会とおみやげ

前回の続きです。

講演会のすヽめ

日本側の監修者である熊澤弘氏の講演会に行きたくて1時間前から並んだけれど先客がたくさんいた、と前回書いたのですが、どうやら普通に皆さんエッシャー展そのものをスムーズに観るために並んでたみたいです。

なので案外整理券の番号も早かったですし、講演会の会場も余裕は充分でした。

このような講演会は、展覧会の裏話や楽しみ方、チラシ以外での目玉作品なども教えてもらえるので、もしタイミングが合えばぜひ一度行ってみて欲しいなあと思います。
先生が私達に楽しんでもらうために話をしてくださるので、美術に詳しくなくても大丈夫です。

講演会のざっくり内容と感想

①展覧会の構成と注目作品として挙がった作品

メモ取りながら聞いたので抜け漏れがあるかもですが、覚えている限りのものを紹介します。

前回に引き続き、エッシャー著作権上引用が難しいので、公式のWebページと交互に見て頂けると嬉しいです。
M.C. Escher - The Official Website
(英語表記なのですがgallery> periodで見てもらうと探しやすいかと思います)

✳︎✳︎✳︎

科学(Scientific Exploration:科学的実験)
《バルコニー》
現在アプリや魚眼レンズでできることを計算して描いている
《対象と秩序》
結晶体に窓が映り込んでいるから近くで見て欲しい
《版画画廊》
溶け合う版画世界と現実の世界

聖書(Legend and Religion:伝説と宗教)
《楽園》
こういうのも描いています、ライオンが可愛い
バベルの塔
ブリューゲル展でもバベルの塔が来たばかり
28歳の作品
崩壊する塔の上部は後の《上昇と下降》に繋がる気配
(→これは自分でも気配を感じていたのでちょっとガッツポーズでした笑)
映画『タワーリング・インフェルノ』の話

風景
エッシャーはオランダ人だけどイタリアと縁が深く風景画の作品をたくさん残しているのでじっくり見てほしい
後の繰り返すパターンへの傾倒の気配もある
例として《トロペア、カラブリア州》の崖の表現など
(→ここも違う作品ですが、後のエッシャーの気配を感じられたことが嬉しかったですね)

トロペアとは - コトバンクより引用

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会場では謎のセクションだな?と思っていたのですが、これはエッシャーは(あるところで)有名になる前から外の仕事を積極的に受けていたことを示すという目的があるセクションでした。

人物
ここは結構サラッとでした。
《自画像》《妻イエッタの肖像》が最終的に《婚姻の絆》になる流れを見て欲しいとのこと。

技法(Techniques and their Secret:技法の秘密)
木版、エッチング、メゾティントなど、様々な版画技法の説明について時間が割かれました。
ここが個人的にはかなり勉強になりましたね。
曖昧に使っていた技法用語がきちんと整理できてよかったです。

版画は技法を問わずどこを削ったのかを観るためにも近くでゆっくり鑑賞して欲しいとのことでした。
名前が挙がった作品でまたゆっくり観たかったのは《地下聖堂の行列》ですね。
屋根の表現が木版なのに精密で興味をそそられました。

・反射
写像球体の自画像》
小さなセクションだけど重要なのでよく見て欲しいとのことでしたが、説明自体は比較的サラリでした。

・錯視
最後がいわゆるエッシャー作品、ボリュームもあります。有名作がずらっと並んでいます。
《昼と夜》《上昇と下降》《滝》《ベルヴェデーレの物見台》、展覧会キービジュアルの《相対性》
そしてラストのお楽しみが《メタモルフォーゼⅡ》とのことでした。

エッシャーはいつどこで有名になったのか

・そもそもの人生はだいたい5期に分類される
(初期、ローマ時代、スイス・ベルギー時代、オランダに帰る・晩年)

・ローマ時代に技法や風景を学び、イタリア各地を旅する(グラナダアルハンブラ宮殿も訪れている)

イタリアのファシズム政権から逃れてオランダに帰国する。その前にアルハンブラ宮殿を再訪し、敷き詰められた模様の魅力に惹かれて作風が激変する

→そのような作品が1951年に「タイム」「ライフ」「ザ・ストゥディオ」で取り上げられて英語圏知名度を得るようになる

→美術界ではなく数学者、結晶学者などに評価され、数学学会の主催で展覧会が行われるようになった

◎《上昇と下降》は不可能図形であるペンローズの三角形へのオマージュ作品である

ペンローズの三角形 - Wikipediaより引用

③Q.エッシャーのフォロワーはどこにいるのか

A.完全なフォロワーはいないが、エッシャー幾何学的作風を取り入れた画家やパラドックス的世界を取り入れた美術・学問・映画・漫画は多数存在する

美術:
20世紀後半のオプティカルアート(だまし絵)
幾何学的な抽象画:ブリジット・ライリー
※ブリジット・ライリーは千葉のDIC川村美術館でちょうど展覧会をやっているそうです。
開催中の展覧会 | DIC川村記念美術館

学問:
エッシャー表現学会、日本テセレーションデザイン学会など

映画:『ラビリンス』『インセプション』『ナイト・ミュージアム』など

漫画:
ジョジョの奇妙な冒険』42-43巻

おみやげ

なんか物欲が爆発しました。
イスラエル美術館との繋がりで、サボンとマックスブレナーがそれぞれコラボしていたのでセットをひとつずつ、《昼と夜》《3つの世界》のポストカード、クリアファイルです。
あと写真に写ってないんですけどトートバッグも買って、早速使ってます。